
私が「環境」と真剣に向き合うようになったのは社会人になってからなんです。大学卒業後に就職した化学メーカーで環境部という部署に配属されたことがきっかけ。企業としての環境への取り組みを検討・推進していく以外に、社員の環境意識を高めることもここでのミッション。人を教育するにしても自分のモチベーションを維持するにしても、「もっと環境の知識を付けないと」と強く感じました。今でこそ環境問題は大きく取りざたされていますが、当時の日本はまだ他人事。国内では情報も少なく海外から採取していましたが、同時に、環境問題に関して日本が大きく遅れていることに気付き危機感を感じました。そして「もっと本格的に勉強したい」と思った頃に出会ったのが当学院。環境に関して明らかに進んでいる海外のカリキュラムを取り入れていること、通信制なので仕事との両立も可能なことが魅力でした。
いざ入学してみると、仕事と家庭と学業の両立は想像以上に大変でした(笑)。それでもディプロマまでは順調に最速で進んだのですが、その後、仕事での昇進、主人の転勤に伴う海外生活などが重なり一旦休学。「もうダメかも」と諦めかけていた頃、比留間先生から「せっかくここまで書き上げているのでもったいない」と励ましの連絡をいただいて一念発起。家族の協力もあり期間ギリギリでなんとか修士号を取得することができました。通信制なので基本的には独り。「方向性が間違っていないか」と不安になることもありましたが、的確かつ丁寧なフィードバックのおかげで最後までやり遂げることができました。
私の場合、仕事と家庭との並走だったのでそれなりに苦労はありましたが、時間・お金・労力を費やした価値はあったと確信しています。環境に関する知識はもちろん、時間の使い方、情報の採り方など、お金には代えられない財産をたくさん得ることができました。何よりも、やり遂げたことの「自信」が一番の習得物でしたね。
環境問題に対しては、企業だけでなく個人の意識の高まりも重要。環境意識を高める手法や、プロセスをどう整備すれば人々が環境対策に参加しやすくなるかなど、(私の修士論文のテーマでもある)「環境アセスメント」をテーマに今後も環境問題に取り組んでいきたいと考えています。
英国国立ウェールズ大学大学院 環境プログラム
修了生 宮川福子 (2008年度修了 明治大学農学部卒業)

現在は「地球温暖化」や「カーボントレード(炭素排出量の取引)」が騒がれていますが、一昔前はリサイクル・廃棄物の問題がクローズアップされていました。さらに以前は環境ホルモンやオゾン層の破壊などが問題に・・・。一口に「環境問題」と言ってもテーマは多種多様。すべて多面的な要因が重なり合って派生している問題で、そのどれもが未だに未解決。問題自体も複雑ですが、解決策となるとさらに複雑です。「環境問題に取り組もう」という思いは大切ですが、思うだけではどうにもならない。何かアクションを起こそうと考えたとき、まず「知ること」だと思ったのが入学を考えたきっかけですね。
現在の仕事も環境に密接していますが、「目先の仕事のために」と言うより、将来に渡って長期的に、そして社会的に環境に関わっていきたいという思いがあり、自分のライフ設計の一環としてここで学ぶことを選択しました。ウェールズ大学は生物科学の分野で素晴らしい実績とバックグラウンドを持っている大学。その大学がこの「環境プログラム」をサポートしているということに信頼を感じ、意欲を覚えました。
ここでの勉強を通して非常に多くを習得できましたが、一番の成果はドキュメント化するプロセスを学べたこと。修士論文と格闘して得た財産です。1つのテーマを掘り下げ、論理的な道筋で何万字という論文に仕上げなければならない。連続的な時間も必要だし、根気やバイタリティもいる。3年以上かかりましたが、いい経験になりましたね。ISOやJISなどの標準・規格への対応はどの領域も文書の山。「膨大な量のドキュメントに立ち向かう」。環境知識だけでなく、こうした訓練ができるのも、ここのプログラムの利点ではないでしょうか。
私が住んでいる多摩地区は自然の宝庫。中央線に沿って流れる野川、ミシュランで三ツ星に輝いた高尾山、北に行けばトトロの狭山丘陵、玉川上水・・・と、自然が点ではなく線になり得る地域。ビジネスでも社会活動でも、どのような形であれ、こうした素晴らしい資産を持つ多摩地区で環境に関わる何かを発信していけたら、と考えています。
英国国立ウェールズ大学大学院 環境プログラム
修了生 森和博 (2007年度修了 東京都立西高等学校卒業・東京大学経済学部卒業)

実は3月いっぱいで退職し、4月から母校である千葉大学の博士課程に進む予定です。それまでの私の仕事は土壌汚染や地下水汚染に関する地質調査やコンサルティング。仕事のために視野を広げたいと思い入学したのですが、プログラムの内容はどれも興味深く、探究心を触発されるものばかり。それまで眠っていた「研究を続けたい」という思いに火がついてしまったんです。環境は学際的な分野。一部分だけを掘り下げても根本的な解決には至らない。広い視野で包括的に取り組む必要性を感じ、大学に戻ることを決意しました。産学協同の取り組みも今後重要になってくることから、上司も快く賛成してくれたことは幸いでした。
在学中一番苦労したのはやはり修士論文ですね。何をテーマに、どう構成すれば45000字というボリュームを埋めることができるのか?テーマと目次を決めるのに2年強も費やしました。結局、当時仕事で取り組んでいた内容を反映させることにランディング。おかげでデータや文献は豊富にあり、じっくり構成を練った甲斐もあって、書き始めてからは比較的スムーズに進みました。博士課程では長い論文を書く機会も多いと思うので、こうした意味でもいい勉強になりましたね。
環境問題は根深く、決定的な解決策がないのが現状。「じゃあどうする?」って時にまずできることは、やはり意識改革だと思うんです。実際、小学校などにエキスパートを派遣して授業を行うなど、環境への関心を促す活動に取り組んでいる先生もいます。私は大学に戻ったら地下水流動の研究を進めていく予定ですが、これに留まらず、子供達に地学や環境に興味を持ってもらえるような働きかけ、あるいは、企業と市民と研究者のコラボによる都市設計のための組織作りなど、多面的に環境問題に取り組んでいきたいと考えています。
大学で地下水について学び、地質調査・コンサルティングの会社へ入社し、「もっと知りたい」と思い当校へ入学、修士号を取得し、今度は博士号・・・。自分の興味を行動に移してきただけなのですが、気が付けば自分の「軸」ができていました。図らずも自分の人生における大きな転機となった当校への入学。私にとっては大きなプラス、非常に有意義な時間だったと言わざるを得ません。
英国国立ウェールズ大学大学院 環境プログラム
修了生 阿部博昭 (2007年度修了 私立城北高等学校卒業・千葉大学理学部卒業)